最初に、虫歯(むし歯)という病気を知っておきましょう。
頻度
虫歯はとても身近な病気です。生涯で日本人の9割以上が虫歯を経験しています。また、歯を失う原因の32%(歯の破折を含めると43%)にもなるため、予防はもちろん、自分の歯を長持ちさせるためには、きちんと治しておきたい病気です。
原因
虫歯は、虫歯菌が糖を分解してつくる酸が原因です。酸によって歯が溶かされ、軟らかくなってしまう状態です。
虫歯だけでは、歯に穴があくことはありません。虫歯で軟らかくなった部分に、かみ合わせの力が加わったり、歯ブラシや食べものがぶつかって歯が欠けると、穴があきます。
進行
歯の表層は、酸によって溶かされても、唾液などの力でまた固くなります(再石灰化)。
虫歯は、歯の表面が溶かされ、白くなることで始まります。この初期虫歯は、進行が止まる場合があるため削らずに経過を追います。
しかし、一度エナメル質を通り抜けてしまうと、自然に治ることはありません。虫歯の進行速度を見極め、虫歯を止めるために治療が必要になります。
外側(エナメル質)を突破した虫歯は、歯の中(象牙質)で広がります。歯が欠けて、舌で虫歯を感じるようであれば、広い範囲が虫歯で溶かされています。
虫歯がさらに進行し、痛み、しみるなどの症状が出たときは、虫歯菌が神経まで達していたり、歯が折れたりヒビが入っている可能性があります。そうなると、神経の治療が必要になったり、状況によっては歯を抜くリスクが高くなります。
場所
虫歯ができやすい場所は、かみ合わせの溝や歯と歯の触れ合う部分といった、歯ブラシだけでは磨くのが難しい場所です。
また、歯周病などで歯ぐぎが下がると、根の表面が虫歯になることがあります。根の表面は、エナメル質がなく、耐酸性が低いので、虫歯になりやすい場所です。